(Ferdinand Schmutzer Public domain, via Wikimedia Commonsより)
このブログに、よくアインシュタインの言葉を使わせてもらっています。
私がアインシュタインに興味が湧いたのは、1991年の4月から12月にかけて放送された、NHKスペシャル『アインシュタインロマン』を見た時からです。
番組のコメンテーターをミヒャエル・アンドレアス・ヘルムート・エンデ(Michael Andreas Helmuth Ende)がしていたのに、まず驚きました。
エンデの小説『はてしない物語』の映画化された作品、1984年の『ネバーエンディング・ストーリー( The NeverEnding Story)』に心躍らせて観ていたからです。
児童文学『モモ(Momo)』でも有名なでもあった彼の姿を見る事が出来ただけでも、ワクワクしていました。
物理学者アルベルト・アインシュタインをテーマにしたこのドキュメンタリー番組は、当時宇宙や、神や宗教に興味があった私に、衝撃を与えるモノでした。
VTRに録画し、何度も見直した記憶があります。
ただ、残念ながら当時のVTRは再生機が壊れて見られないのです。参った!
名前こそ知っていたアインシュタインでしたが、その想像力の凄さや、信念を垣間見る事が出来たこの番組で、彼の虜になったのです。
有名な「E=MC2」の方程式がどのようなモノなのか、光の正体など興味が尽きない問いに、解りやすく解説されていたのを覚えています。
彼が、生きていた時代1879年- 1955年は、大きな戦争が起きた時代でもあり、
物理や化学が、戦争に対してどのように向き合うべきかを問われた時代でもありました。
第一次世界大戦では、平和運動をし、第二次世界大戦では、当時のナチスを倒すべく、考えを変えたりと、ユダヤ人であった彼の、学者と人間的な側面との葛藤があった事を知り、ますます彼に興味が湧きました。
数えきれないほどの功績の裏に、学校嫌いや離婚、自身による家庭内暴力など、人間的な悩みがあった事。
靴下に穴が開くことがイヤで、はかないという選択を選び、服装にも、選ぶのに時間がかかるのを嫌って同じ服を何着も持っていた事(アップルの創業者スティーブ・ジョブズも同じ事をやっていた)や、あのぼさぼさ頭で解るように、外見に対し無頓着であったこと等、彼の人となりをうかがわせるエピソードに触れる度、ますます惹かれていきました。
(Photograph by Orren Jack Turner, Princeton, N.J.Modified with Photoshop by PM_Poon and later by Dantadd. 米国議会図書館の版画と写真部門より
1922年11月30日撮影 日本のアルバートとエルザ・アインシュタイン)
彼は、日本好きでも有名であったとされ、当時アメリカにいた日本人として初めてのノーベル賞受賞で理論物理学者の湯川秀樹に、原爆投下での過ちを涙ながらに許しを請う言葉を話したともされ、私の中での彼の存在は、尊敬へと変化していったのです。
(原爆製造のマンハッタン計画には、アインシュタインは入っていません)
彼が残した言葉、名言は確証が得られていない言葉もあり、
使わせて頂く立場としては、心もとなく思いますが、
それでも、彼の人間性も含め、夢を見させてくれた人物には変わりありません。
彼が生み出した、神の方式、物事をシンプルする方程式を理解する力は、
私には全然ありませんが、冒頭にも書きましたが、彼の考えた事が、実際にこの世界で証拠が出て証明される度に、子供のようにワクワクするのです。
最近も、重力レンズによる見えないものが見えるといった映像が、どんどん発表されています。
2019年4月にイベント・ホライズン・テレスコープ
(地球上の8つの電波望遠鏡を結合させた国際協力プロジェクト)
によって実際のブラックホールの撮影(注1)に成功しニュースになりましたが、それ以前に作られた
2014年『インターステラー( Interstellar)』
『クリストファー・ノーラン(Christopher Nolan)』監督によるSF映画の中で、ブラックホールの姿が見事に再現されていて、科学考証の正確さや、視覚効果の素晴らしさの賜物で、この映画の凄さには、私もビックリし、再度観直しました。
恥ずかしい話ですが、ブラックホールが丸いとは思ってもいなかったのです。
(ファイル:ブラックホール - メシエ87.jpg。(2021年、9月27日)。ウィキメディア・コモンズ、無料メディアリポジトリ. https://commons.wikimedia.org/w/index.php?title=File:Black_hole_-_Messier_87.jpg&oldid=593847062 から取得。)
最近も、香取秀俊(東京大学 教授/理化学研究所 主任研究員)さんが、光格子時計を作り、話題となりました。
要は、とても正確な時間を測れる時計です。
ニュースでは、スカイツリーの上と下では、下の方、
すなわち重力が大きい方(地球に近い)が時間が遅れている事を、確認した話など、
アインシュタインの理論を実際に確認できる時代に生きていられて、
本当に幸せだと思います。
もしアインシュタインが生きていたら、どれほど喜ぶか。
そんなことを考えるだけでも楽しくなります。
私が、アインシュタインから学んだものは、彼が良くやっていた「思考実験」、
すなわち頭ので色々と考え、疑問を問い、解読するその想像力の大切さが、
いかに大切かという事と、想像力が生まれやすい、教育の大切さです。
アインシュタインも、自分の受けた教育に疑問を持っていたそうです。
彼はこんな言葉を残しています。
「The only thing that interferes with my learning is my education.」
『私の学習を妨げた唯一のものは、私が受けた教育である。』
規則ずくめで軍国主義的な校風が、彼を苦しめていたらしく、退校しています。
ただ、独学でピタゴラスの定理や微分学と積分学も習得し、それが十代前半の事なので、驚くばかりです。
アインシュタインは、好奇心と想像力の塊のような人だったようです。
ですから、規則や厳格といった枠に閉じ込められるのが、イヤだったのでしょう。
覚えれば良い勉強は、調べればすぐ分かる事で、意味がほとんど無いのです。
「大化の改新」は645年と習ったものが、646年に変わったり、
「イイクニつくろう鎌倉幕府」と覚えた1192年は1180年から1190年にかけて段階を経たと変わったり(1185年と記載されている教科書もあります。)と、
私が受けた覚える教育も、意味が無かったのです。
あの、人間の進化を描いた絵。
サルから段々人間と進化するあの図も、正しくないのです。
「ネアンデルタール人」て良く耳にしますが、現代の人間とネアンデルタール人は、共存していたのです。
708年の和同開珎が日本最古の貨幣であると教えられてきましたが、
687年製造の富本銭が発見された為、現在では富本銭が日本最古の貨幣とされていますし、
私の好きな天文部門でも、太陽系の惑星である冥王星は、2006年に国際天文学連合が「冥王星は惑星とは言えない」という見解で、準惑星という定義になっています。
最近も、もう一つ惑星があるかもしれないといった情報も流れています。
結局、覚えた事でも全く、当てにならない事が多いのです。
いかに記憶するだけの教育が、無駄な事だ分かる事例だと思います。
日本史を習っていても、その時の世界情勢がどうであったかは、結びついていません。
あのドラマ「大草原の小さな家」(注2)でおなじみのアメリカの開拓時代は、日本では江戸時代でした。
西部劇でも見られるように、アメリカではすでに窓ガラスもありました。
想像力が生まれないような教育、すなわち覚えるだけでは、何も生み出さないのです。
子供達は、想像力の源だったのに、その力を奪うような社会では、新しいモノを生み出す力が、無くなってしまいます。
と同時に、想像力をもって研究している若者達の境遇が、
残念ながらこの日本は整備されていません。
近年日本は、基礎研究よりも、すぐに結果が出る事ばかりを重視するようになり、
研究者の待遇も、一向に良くならず、頭脳の海外流出が問題になっています。
災害国であり、食料自給率37%(注3)の、不安定な国に住んでいる事を私達は、忘れてはいけないのです。
SDGsも名ばかりで、やった感を出しているようにしか見えません。
その為にも、想像力の大切さを教え、活かすようにするべきなのです。
若い人達が、次の世代を担っていきます。
彼らの足を引っ張るような、教育や環境を、この国はもっと考えなければいけません。
海外に比べ、奨学金制度も学生たちの足かせになっている現状。
大学に残って研究する為の生活保障など、日本は、かなり低レベルな状態なのです。
人間は、想像できる地球上唯一の動物です。
この与えられた能力が芸術や音楽を生み出し、様々な発明をも生み出してきたのです。
アインシュタインは、自らの式「E = mc2」がもたらした(証明されてしまった)核兵器の誕生に心を痛めていました。(前述)
想像力が、不幸をもたらす事に使われ続ける今の世界。
日本でも、大戦を生き抜いて来られた方が亡くなってしまい、その戦争という悲惨さを語れる人が、居なくなりつつあります。
もう一度考え直さないと、自らを滅ぼすことになるかもしれません。
それこそ想像力を働かせてもらいたいものです。
「Imagination is more important than knowledge. Knowledge is limited. Imagination encircles the world.」
『空想は知識より重要である。知識には限界がある。想像力は世界を包み込む。』
(注1)ブラックホールは、強力な重力により光も脱出出来ない為、直接には見る事が出来ません。リング状の周囲のガスを捉えられた映像です。
(注2)『大草原の小さな家(Little House on the Prairie)』
原作はローラ・インガルス・ワイルダーで、日本ではNHKで 1975年から1982年にかけて放送され、人気のあった海外TVドラマでした。
ファミリードラマという位置付けもあり、先住民や黒人といった差別問題に、配慮して作られていましたよ。
(注3)農林水産省の発表。2020年度(令和2年度)の日本のカロリーベースによる試算
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