人類の歴史は、ウイルスとの闘いでもあります。
天然痘や麻疹(はしか)、インフルエンザ(スペイン風邪)等、人が移動するようになればなるほど、パンデミック(世界的流行)となり、多くの命を奪ってきました。
と同時に忘れていけないのは、ウイルスという存在が認識されるまで、その病気の発生源として多くの人達が疑われ、責任を押し付けられ犠牲になったという事実です。
例えば14世紀の欧州で流行したペストの発生源として、ユダヤ人が虐殺されたり、
最近でも、COVE19コロナでのアジア人に対する差別まで、得体の知れない時から正体が分かる様になっても、愚かな責任探しと差別が今なお、世界で繰り返されている事です。
今では、薬が良くなり死の病気ではなくなった、ヒト免疫不全ウイルス (HIV)による後天性免疫不全症候群 (AIDS)エイズも、流行時特にRGBTQの方々の病気とされ、
様々な偏見や差別があった事もまだ記憶に新しい事です。
宗教の関りも歴史を見ればわかると思いますが、伝道や侵略による蔓延と、それにまつわる虐殺もありました。
ウイルスの歴史背景は、調べれば出てきますので、この記事では深く書きませんが、ウイルスと人類とは、色々な意味で多くの関りがあります。
ウイルスとは?⦅その目的⦆(1)の記事と少し重複しますが、
ウイルス自体は、増殖する力を持ってはいない為、生物に入り込み、数を増やさなければ死んでしまいます。
人以外にも感染するウイルスも多く、ウイルスと共存しながら生きている動植物も数多くいます。
また人間の進化にヒト内在性レトロウイルスが関係している事も分かってきました。
加えて個体(宿主)の死に至る口蹄疫、牛疫、鳥と豚のインフルエンザ、その他の植物関連ウイルスなど、人と関わり合いがある動物に感染する事によって結果、経済的にも、食糧という観点からも、人間にとっては打撃になってきました。
人が管理し、飼育、育成する多くの動植物の感染は、同じような遺伝子の受け渡しをさせないような働きをしている様に見えます。
自然界では生存の為、多様性が欠かせません。
何故なら、様々な環境の変化に対応して、生き延びていかなくてはいけないからです。
同種であっても、生き残るための変化により淘汰され、遺伝子を残し、受け継いでいるからです。
人の手が入る事により、生産性の向上や、自然界では起きないような、例えば肉の付き方、病気に対する対策が行われている為、結果、似通った遺伝子ばかりが受け継がれてしまいます。
また家畜の管理生育環境は、動物虐待ともいえる飼われ方が、近年先進国では問題視されています。
抗生物質の投与により、病気の発生を抑え込んだり、輸入肉では早く成長させる為の成長促進を目的に使用される、肥育ホルモン剤(動物用医薬品)の投与(日本では承認されていません)も行われています。
またブロイラーと言われる食肉用のニワトリの品種は、生産性向上やコスト削減の為、孵化後50日まで(通常は120日以上)に出荷できるよう、個体の飼育面積が狭い所で飼い(身動きが殆ど出来ない)、明るい間にエサを食べるという習性を利用し、窓の無い鶏舎で人工的にいつも明るくし、餌を食べさせられているのです。
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人間の為に様々な薬の投与や強制的環境下で育てられた動植物のお陰で、今の食が支えられているのです。
品種改良や前述の様な人為的な生産方法では、遺伝子の持つ本来の生き延びる為の力が、すなわち多様性が失われているのです。
その事を責める意味で書いているのではありません。
ただ事実として、その様な中での「食」の在り方、SDGsなんて言葉も出てきている現代、飽食や廃棄問題を、真剣に考える時期なのは確かでしょう。
自然は大きな流れを持って、この星を維持しています。
それは環境だけではなく、人間を含む動植物も例外ではありません。
自然は、急激な変化を求めてはいません。
地震や噴火、台風などの災害も、長い年月を経ての結果で、近年言われるような、「稀に見る」や「過去にない」などの表現も、長い年月の経過があっての結果での表現にしか過ぎません。
何故なら、自然は謙虚だからです。
ウイルスも、その自然の流れの一部に組み込まれています。
だからこそ、恐ろしく激しく、ゆえに得体が知れないモノなのです。
私達が考えられる予測など、ほんの一部を垣間見ての事です。
なぜ宿主である人間を巻き込み、自滅するのか?
なぜ変異し、私達を生かそうとするのか?
ウイルスがいつ、どこで、何が起因で発生するのか?
それは、人為的であれ、他の生物に対する接触や排除、コントロールであれ、自然の一部である人間が、大きな流れの中で、必然であり当然として起きている事に気が付くべきなのです。
今回COVE19コロナウイルスで、世界中が混乱し、経済や生活が変化してきました。
いわば地球という家の中に作られた檻に閉じ込められた状態かもしれません。
そして、人間の社会という集団の中で起きうるマイナスな一面をあぶりだしているのです。
人間同士の繋がりを、どう結び続けるのか?どう繋ぎ直すのか?といった課題の克服なしには、ウイルスの思うつぼとなるでしょう。
それは、差別や憎しみ、排除といった憎しみウイルスの撲滅と言ってもいいでしょう。
だからこそ、
この星の住人として、生き残る為には、何事に対しても謙虚さと、過去からのメッセージを読み解く力、未来の為の検証や反省無くしては、生き残る事は出来ないでしょう。
反省し謙虚になれと、その時間を与えられているのです。
生態系の破壊や品種改良、化学物質の乱用等、他の動植物に負荷をかけているのは事実です。
ただ、それは生態系の中での矛盾を、サイクルからの逸脱を意味している事かも知れません。
自然である人間が、飽食や快適性を求めての方向だとしたら、この先起こりうる、人類にとっての災難もまた、自然の摂理だと言えます。
ただ、今の状態を良しとしない人達が多くいる事も、自然の摂理です。
ウイルスに限らず、色々な病気と闘い、生き抜いてきた私達人間は、自然という流れの中で、克服してきました。
それを、歴史の流れの一部として、そのままに見過ごしてしまっている事に、もっと注意を向けるべきなのです。
様々なウイルスの出現を、警告として捉えるのか、もしくは仕方が無い事として終わるのを待つか、
特に先進国と呼ばれている国々の生活が、このまま快適で豊かであり続ける保証は一切ありません。
差別や偏見を生み出す愚かな行為を歴史から学び、犠牲になった全ての人達に想いを馳せなければ、また檻の中に閉じ込められるのです。
「ウイルスとは?⦅その目的⦆(1)」でLGBTQ⦅レズビアン(Lesbian)ゲイ(Gay)バイセクシュアル(Bisexual)トランスジェンダー(Transgender)クエスチョニング(Questioning)とクィア(Queer)⦆と呼ばれる人達の事を書きましたが、彼ら彼女らの、いや人としての存在は、自然が生み出している、必然であり、この方々に何の落ち度も責任もありません。
それは、新たなウイルスの出現が物語っている様に、自然の大きな流れの中での必然だからです。
偏見や差別を容認する事を良しとしたり、存在を認めなかったりする事は、
本質を見ていない愚か者がする事です。
なぜ、ウイルスが発生し、その目的は何か?という問いに、もっと掘り下げて見ていくべきなのです。
そこから見えてくる人間の、この地球上での立ち位置を見直すキッカケとなり、全ての事象が繋がっている事に、改めて目を向けてもらいたいのです。
COVE19コロナウイルス下での生活は、大きく変わりました。
過去の事例でも、外出や、人との接触、隔離など、新たな病気の出現で、普段の生活も一変しています。
ストレスが、残念ながら家庭内暴力や家庭内不和、言い知れぬ抑圧感や先の見えない恐怖を生み、悲惨な結末になるケースも増えています。
ただこれは、ウイルスの出現だけが原因で起きる事ではありません。
難民生活や、管理社会、独裁国家といった、いわば人間の作り出す自由をはく奪する、権力ウイルスが、この世界にまき散らされている事でも起きる、いや起きている悲惨な事実でもあります。
分離、分断、差別、人権の軽視、その症状と後遺症は、人類にとっては致命的なモノになるかもしれません。
注視し、増殖を止める手段を考えていかなくてはならないのです。
日本のように、感染リスクが減ると、自由に行動できるような人達ばかりでは無いのです。
今現在、権力ウイルスに対抗できるワクチンは、ほとんどありません。
人から人に感染しながら増殖し、希望や夢までも奪い取ってしまう、たちの悪いウイルスなのです。
予防するどころか、同じような権力ウイルスで対抗しようとする動きさえ見え始めています。
だからこそ、自然が放つウイルスから学ぶべき事、伝えなければいけない事が大切になってくるのです。
人間は、過程よりも結果ばかりを追い求めてきました。
自然には、謙虚さがあり、長い過程を経て結果を導きます。
この星は、答えを出せとは言いません。
この星は、多様性を求めています。
何故なら、一つの答えなど無いからです。
答えが無いのは、可能性を信じているからです。
可能性はいくつもの道があり、そして想像力なくしては生まれません。
そして、想像力は多様性の裏打ちが無ければ、力を生み出せません
もうこの時点、この世紀において人間は、この地球上のすべての生き物に責任があるのです。
枠にはめ、管理し、はみだしを許さない世の中になればなるほど、環境の変化についていけない遺伝子が増え、やがて絶えてしまうのです。
歴史を見れば明らかな事です。
COVE19コロナウイルスで、無策無能な人達のせいで、またその事に関連し亡くなった人達に対するせめてもの償いとして、これからの私達の行動を考えなくてはいけません。
それなくしては、人間自ら権力パワーウイルスとなり、まき散らすかも知れません。
それは、そんな遠くない未来かもしれないのです。
アインシュタインの言葉
「Peace and is not to be obtained by force.Is that obtained only by understanding.」
『平穏とは、力で得られるのではない。理解によってのみ得られるのである。』