トラックドライバーの経験での、エピソード!
その日も、埼玉県や都内の医療廃棄物の収集を終え、横浜の処分場まで、車を走らせていました。
首都高速道路のC1環状線を5号池袋線から入り、横浜方面に行く為、走っていました。トンネル内の霞が関入り口に差し掛かった時、急に混みだしたのです。
電光表示盤で、いわゆるVIP 対応の為、一時通行規制がかかる事を見ていたので、
「あ~引っ掛かった~」とつぶやきました。
そして、まさに入り口の所に来た時、お巡りさんが、私のトラックの前に!
すると、持っていた棒を振って、行けと合図をしました。
後ろをミラーで見ると、車が止められていました。
「良かった!ギリギリセーフ!」
幸運な事に、私のトラックが、最後に規制を免れたのです。
トンネルを抜け、芝公園に近づく頃、後ろから2台の白バイが近づき、運転席の横に来ると、手で「早く行け」と合図。
首都高は最高時速が60キロで、勿論守って走っていたのですが、70キロまで速度を上げて走ると、今度は白バイからスピーカーで、「もっと速く走れ」と命令口調に。
湾岸線へ入ると白バイ2台増えて、パトカー2台も追いついて、スピーカーで「もっと早く走れ」と怒っていました。
東京港トンネル内、制限速度70キロを120キロぐらい出して走りました。
もっとスピードを出したかったのですが、トラック故、120キロが限界でした。
勿論後ろには、白バイ4台とパトカー2台がいたのですが、生まれて初めて、お巡りさん公認のスピード超過違反を、お巡りさんの、お怒りのこもった勧めで、しかも目の前で違反走行しました。
この時は、何とも言えない普段では味わえない楽しさで、湾岸線を走行したのです。
大井出口ですぐ降りたのですが、後から同僚の運転手に聞くと、
足止めを食らった事と、天皇陛下の走行の為の規制だったとの事でした。
VIP走行時は、後ろだけでなく、前もだいぶ開けて走る事を、身をもって知りました。
勿論スピード違反はこれっきりで、それ以降もしていませんよ。
その日朝早く埼玉県内の大通りから、車2台がやっと通れる脇道を走っていました。
普段から走っていたので、規制こそ無い道でしたが、近くに保育園もある事から、
ゆっくり走行していました。
脇道でしたが、優先道路で、交差する左右の脇道には止まれの標識がある道です。
小さな交差点を通り抜けた途端、ガシャーンとすごい音が。
細い脇道から軽自動車が、一旦停止や左右確認をせずに、交差点に入ってぶつかったのです。
トラックは右、丁度、軽油タンク辺りから後ろを破損、軽自動車は前部を大破していました。
勿論すぐに警察と会社に連絡を入れました。
はっきり言って、私自身、気が動転していたのです。
警察が現場検証をしている時、運行責任者の会社の部長も来て、
私は少し落ち着き、相手の免許証番号と名前、電話番号を聞き、
警察からは「相手は止まれの標識どおり止まって、トラックが急に前に現れたと主張しているが、どう見ても、もらい事故だね」と、慰めてくれました。
トラックの後方にぶつかっている事と、軽自動車が先に飛び出せば、当然付くトラックのブレーキ跡が路上に無いとの事でした。
残念な事に双方ドライブレコーダーはついていませんでした。
運行部長は、相手と少し話し、様子を見て、「走れるか?」と聞いて帰って行きました。
どうにか気を取り直し、仕事を終え、会社に帰ったのですが、
普段から会社には、ほとんど顔を見せない社長からの電話がかかってきました。
「この、馬鹿やろう」が第一声でした。
「大丈夫か?」と言うとばかり思っていた私は、びっくりしました。
「相手の保険会社から連絡がこないのは何でだ?」と怒り心頭の声で
「何でちゃんと連絡先を聞かなかったんだ!」と追い打ちをかけるように責め立てられました。
結局、翌日相手方の保険会社から連絡があり、事故をした軽自動車は友人から借りていた事で、持ち主からの連絡が遅く、連絡が今になってしまったという事のでした。
そこからが私にとって地獄のような日々が始まったのです。
こちらが運転している事が解っているにもかかわらず、日に何度も電話をかけてくる社長。
挙句の果てに、人身事故に切り替えろとの命令。
やり直しの現場検証に供述調書作成、事故証明の取り直しと、病院に通えなど、長時間拘束される日が続いて精神的にきつくなったのです。
そして、なぜ社長がこれほど、この事故にこだわったのか解る日が来ました。
事故から半年過ぎた頃です。
それは、事故現場近くのレストランで、双方の保険会社と、社長と私で話をしていた時の社長の言葉でした。
要は事故に遭ったトラックは、特別な許可を得て運転できる車で、その車が稼働していない為、多額の損害が出て、故にその分まで保証してくれとの内容でした。
傍にいた私は、ビックリしました。
なぜなら、トラック自体の破損は部品交換で、すぐに済み、稼働させていたからです。
社長は、保険会社からのお金を釣り上げ、賠償させる意図があったからでした。
結局、数百万のお金が、社長に転がり込んだのです。
私には、何の保証もありませんでした。
数日後、会社に新車のハイエースが止まっていました。
なんでも、社長が趣味の釣りに行く為に購入したとの事。
この会社が、特別だとは思いません。
劣悪な、環境や従業員を大切にしていない会社は、そこら中にあるでしょう。
だからと言って、事故を起こせば、事故に遭えば、運転手は大変な時間と精神を消耗する事に変わりはありません。
今から考えると、もっと自己主張すれば良かったかもしれませんが、職を失いたくない一心でした。
結局、精神を病んでやめる事になりましたが。
車を動かすのは、人間です。
誰も事故をしたいと思って運転してはいません。
どうか、ドライバーを抱えてる会社のトップの皆さん、従業員あっての会社だという事を、もう一度考えて下さい。
働き易い会社は、困難が起きても従業員が支えてくれることを。
ドライブレコーダーの必要性を実感した出来事でした。
以前も経験した事ですが、話していた事が、時間が経つに連れ変わっていくのです。
それは、悪意や保身の為だけでなく、思い込みによっても起きうるのです。
運転は、いつも真剣勝負なのです。
(以上の話は、あくまでも私個人が見聞きした事実でありますが、私の一方的な見方でもあります。当事者である、私以外の人達から、直接真相を聞いたわけではありません。ご理解ください)
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