心の道標

様々な自分の疑問に、自分で答えを見つける旅

バイク便ライダーは、キツイ!

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バイクは、非日常の世界を体感できる、最高の乗り物です。

視界360度、マシンとの一体感、アクセルやクラッチ、ブレーキとその一つ一つに応えてくれるマシン。

乗って見ないと、この感覚は解らないでしょうね。

 

ただ、危ない乗り物には、変わりありません。

30代半ば、とにかくお金が欲しくて仕事を探していました。

当時スズキのバンデット250㏄に乗っていて、折角なので好きなバイクを使っての、この仕事を選びました。

バイク便の内容は多岐にわたり、公共性のある新聞やテレビ局などからの依頼や電話会社や部品メーカーなど会社からの依頼。個人から、例えば、空港でパスポートを忘れた事に気付き、取りに行ってくれ等様々な仕事依頼になるべく早く時間内に届ける仕事でした。

基本給はあるのですが、歩合制で、件数をこなし、それも長距離を走れば、お金になる仕事でした。

ですから、数をこなす為、スピードも上げて走るのです。

当時大阪は、東京と違って、バイクは片側2車線でも一番左を走るのが常識で、渋滞していても、左の路側帯をものすごいスピードですり抜けるのが、バイク便ライダーの常でした。

同業者のバイクが走っていようものなら、意地でもその前に出るという、大変危険な馬鹿野郎ばかりでした。勿論私もその中の馬鹿野郎でした。

速さが売りのこの仕事。

当時はナビもスマートフォンも無いので、ポケベルを持たされ、地図をタンクの上のタンクバッグに乗せ走り回り、雨の日は、特に危険でかなり過酷でした。

当時、横断歩道はハシゴのような路面標示で、中に水が溜まって、とても滑りやすかったのです。

同僚の中にも転倒してる奴がいました。

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少し慣れた頃、事務所で待機していた時に同僚からの電話が。

「今どこにいるか解りません?!」

届け先を把握していたバイク便の責任者が

「周りに何が見える?」

同僚「草原が見えます!」

その場にいた皆が大笑いでした。

彼は、浄水場の上の芝生を見ていたらしく、その人は勿論クビになりました。

地図が読めないと、仕事にならないからです。

 

またある日、当時出回りだした携帯電話を届ける仕事の依頼がありました。

電話会社から顧客へ届ける仕事です。

この頃、携帯電話の修理依頼が多く、毎日のように依頼があったのです。

言われた住所に着いても、建物が解らないのです。

すると、少し離れた所に止めていたベンツがパッシング。

そして中から体格の良いお兄さんが

「待っとったんやでぇ!もうちょっと遅かったらえらい事やでぇ~!」

私はビクビクしながらお金をもらい帰りました。

その後も、怖い系の人達には悩ませられました。

今でこそ笑い話ですが、恐ろしかった経験です。

 

またある日、ポケベルが鳴り、事務所に電話しようと、電話ボックスを探していましたが、その地域が悪かった!

大阪でも当時は荒れて、物騒な町があり、探せど探せど、電話の受話器の線が切られているのです。

これにはホントに参りました!

その後どうしたかの記憶はありませんが、いつの時代にも悪い奴がいるものです。

 

そのうち私は眼鏡用レンズを各眼鏡屋さんに配達するルート廻りに変わりましたが、ルートとは言え、速さが求められるのは同じ。

大阪の某眼鏡レンズ会社から、京都や滋賀県をカバーする範囲の広い仕事で、とにかく無我夢中で毎日走りまわっていました。

 

同僚のルートライダーが、事故に遭い入院したり、常に危険と隣り合わせの毎日でした。

そして起きたのです。事故が!

滋賀県の琵琶湖沿い、渋滞中の道路の左を走っていた時、前から来た車が右折。

いわゆるサンキュー事故です。

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右折しようとする車に、道を譲る為、前との車の間を開ける時に発生する事故の事で、私は、正面からぶつかって10mも飛ばされ、左腕の2本とも骨折し、足のあちこちに擦過傷。

たまたま運よく後ろを走っていた白バイ警官が助けてくれ、私の顎部分が割れたフルフェイスのヘルメットを脱がしながら「よく助かったな!もう少しでポールにぶつかっていたよ」と。

そして落ちた所が、たまたま植込みだったのも良かった事を教えてくれました。

で、そのまま救急車で入院。自宅から80㎞以上離れた病院へ。

ここで初めて看護師、いわゆる男の看護師さんと出会いました。

とても優しくしていただき、一人きりの入院生活の不安が和らいだ事をはっきり覚えています。

入院中、屋上で煙草を吸いながら見上げたオリオン座がとても綺麗で、

「俺は何をやってんだろう」とつぶやいていました。

骨折した腕の骨の中にステンレス棒を入れ固定するという、今考えただけでも痛い手術をして、約一カ月後退院。

バイクは無茶苦茶に壊れてしまい、中古のホンダ VT250に乗り変え、懲りずにまた、バイク便に復帰しました。

復帰後しばらくして、骨の中の棒を抜くため病院へ。

いやぁ~痛かった。

ところがその後リハビリしても、手首がうまく回らないのです。

要は手のひらを上に出来なくなってしまい、お釣りを受け取る際も、体をひねらないといけない状態でした。

その結果、骨を削る手術をする羽目に。

災難は続きました。

そして、また現場へ。

相変わらず事務所では「俺のここには、棒が入っている」とか「寒いと、うずくんだよね」と言って大きな傷跡を見せる奴とか。

とても普通の会話ではなかった記憶があり、私もその仲間でした。

とにかく危ない仕事でした。

それでも乗っていたのは、バイクが好きという理由が一番大きかったと思います。

そしてまた事故。

今度は車の左横を走行中、車がいきなり左折。

右手小指が、車と自車のハンドルに挟まれ骨折。

仕事を辞めるきっかけになりました。

 

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グローバル Web アイコン警視庁公認 交通安全情報サイト TOKYO SAFETY ACTIONより

 

車を運転している方へ

対向してくるバイクは小さく、遠近感で遠くに見える為、右折の際、大丈夫と思われがちです。

また、バイクに乗っていない人には判りにくいのが、考えている以上にスピードが出ています。

交差点での右折やUターン時は、十分意識して車を操作して下さい。

また、対向してくる車のすぐ後ろに走っている時があります。

特に大型車の後ろは見えにくいので、注意が必要です。

左折時や助手席のドアを開ける際、バックミラーの死角に入る事があるので、気を付けて下さい。

昨今の、あおり運転もバイクでは死んでしまいます。

実際にも起きましたが、バカな真似は絶対にしないで下さい。

 

バイクもまた進化していますが、ライダーは生身で、事故の際は車と違い、かなりリスクがあるのは、昔と同様です。

たとえ原付バイクでも、ライダー自身が身を守る「もしかしたら運転」に気を付けて、バイクとの素敵な、時間を過ごしてください。

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「スズキ バンディット250」水冷DOHC4バルブ並列4気筒・最高出力40PS / 14,000rpm・最大トルク2.5kgf・m / 10,000rpm・車重146kg - 147 kgのネイキッドバイク。

鋼管丸パイプを強調したダイヤモンド構造のフレームが、とても美しいデザインの車で、4ストローク水冷4気筒エンジンは、かなり高回転まで回す事が出来る楽しいバイクでした。

マーブルピュアーレッドの色も相まって、一目ぼれしました。

後に、カウルの付いたバージョンが発売になり、仮面ライダー気分を味わえるバイクでもあり、

このカウル付きが欲しくて仕方がなかったバイクです。

 

「ホンダ VT250スパーダ」水冷4ストDOHC4バルブV型2気筒・249cc・40PS/12000rpm

2.6kg-m/9000rpm・車重140kg V型エンジンの為、車幅が細く、すり抜けに適していたのと、ホンダカブから受け継がれている、エンジンの耐久性、燃費の良さで、バイク便のバイクと言われるほど、需要がありました。

個人的には、万人受けで個性の無い印象の車でしたが、信頼できるバイクでは、トップクラスでした。(冒頭の写真)

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最近、宅配やデリバリーで、スクーターや自転車が町中を走り回っています。

一部の心無い人達が、交通法規を無視したり、事故を誘発するような光景を、私も見るようになりました。

運んでいるのは、品物だけではなく、自分の命も乗せている事を忘れないで欲しいものです。

二輪は、車との事故では必ず怪我や、最悪死ぬこともあります。

対歩行者では、加害者となり一生の後悔が残る事を忘れないで下さい。

また、スリッパやサンダル等は、指や足を守る意味でも、非常に危険です。

ちゃんとした靴と長袖長ズボンで乗って下さい。

 

大切なあなたを含め、誰かが悲しむような事にならないよう、毎日惰性ではなく、新たな気持ちで運転して下さい。

勿論、スマートフォン見ながら運転は、危険極まりない行為です。

情報のほとんどが、目から入ってきます。

目隠しをして運転なんか出来ません。

取り返しのつかない事を起さないよう、安全運転で走って下さいね。

 


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