心の道標

様々な自分の疑問に、自分で答えを見つける旅

だから本を読む

 

歴史の授業は、本当に嫌でした。

なにせ、年号や出来事、名前など覚える事ばかりで、結局大人になっても、当時の授業で習った事は、ほとんど役にたちませんでした。

30代、古本屋で歴史がこんなにも面白いものだったんだと、気付かされる本と出会ったのです。

 

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その本とは、ノンフィクション作家の吉村昭さんの『漂流』という本でした。この事を境に、吉村さんの本に魅了され、次から次へと買い求め、読みあさりました。というより、読みたくてウズウズしていました。


漂流 (新潮文庫)

 

彼の作品は、主に日本の歴史の中に埋もれている人達に焦点をあて、綿密な取材を元に、まるで、読み手が主人公になるような錯覚になってしまうほどの描写で、ほとんど、1日で読みきってしまうほど力のある作品です。

それまで、学校では習わなかった、習っても、名前ぐらいしか知らなかった歴史の面白さに、引き込まれてしまいました。

残念な事に吉村さんは 2006年に79歳でお亡くなりになりました。

もう作品が読めないと思うと、残念で仕方ありません。

彼の作品から私は、歴史の裏というか、隠れている沢山の人達の存在を知り、今があるという事を学び、過去を知り、過去から教訓を得る事の大切さを、そして歴史の面白さを教えて頂きました。

 

中学生だった頃、当時給食は無く、校内にある売店で、そばやパンを買うか、弁当持参するかのどちらかでした。

私はどうしても買いたいものがあり、お金を貯めていました。

それは確かSONYカセットデッキだと記憶しています。(調べましたら通称デンスケSONY TC-2860SD ¥69,800でした)

夕刊の新聞配達もしながら、頑張っていたのですが、なかなかお金が貯まりません。で、お昼代として毎日もらっていた数百円をうかせ、貯める為に、食べるのを我慢する事にしました。

昼休み、どこにも行き場が無かった私は仕方なく、図書室で時間をつぶしていたのです。

そこで出会ったのが、イギリスの小説家・アーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』でした。

シリーズの主人公である、架空の探偵の物語で、お腹が空いている事も忘れ、夢中で読んだ記憶があります。

この事が本を本格的に読むきっかけになったのです。

幼い頃、『きかんしゃやえもん』(文・阿川弘之/絵・岡部冬彦1959年出版)や、『ちいさいおうち』(バージニア・リー・バートン石井桃子(訳)1954年出版)を何度も読み返していた私がそこにいました。


きかんしゃやえもん (岩波の子どもの本 カンガルー印)


ちいさいおうち (岩波の子どもの本)

 

中学卒業以来、しばらく読書から遠ざかっていた私は、病気やケガで入院する事があり、30代に、また本との付き合いを再開したのです。冒頭の吉村 昭さんの本も、その中の一冊でした。

 

私にとって、本との出会いが無ければ、寂しい人生になっていたかもしれません。

本に全く興味が無かった私。

幸か不幸かスマートフォンやゲームが無かったから良かったのでしょう。

今もたくさんの本が生まれ、様々なスタイルで読む選択ができ、いつでも読むことが出来る事に、特に本嫌いの方に、その魅力を味わって欲しいと思います。

本には、読み手が頭の中で映像を作り出し、時に一体感、時に別世界に連れて行ってくれる力があります。

あなただけの世界を見せてくれるのです。想像の力は、誰かが作った映像として観るよりも、もっと深く届くでしょう。

空想や妄想は、心にとって大切な栄養になります。

心の片隅に隠れ、ふとした時に現れ、何らかの手助けになるからです。

 

世界では、好きな時に好きな本を、自由に読む機会が無い人達がたくさんいる事を忘れないで下さい。

自らその機会を放棄しないで欲しいのです。

たった一冊が、もしかしたら、人生の道標となるかもしれません

 

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余談ですが

たまたま立ち寄った古本屋で、猫の背中の絵が描かれた『夏への扉』という文庫本を見つけ、読んでみると、これが面白くて一気に読み終えてしまいました。

この『夏への扉』は原題がThe Door into Summerで、アメリカの作家ロバート・A・ハインライン1956年出版のSF小説で、人工冬眠を使い様々な困難を乗り越え、幸せになるストーリーで、ピートという猫も登場します。

(当時、私が飼っていた猫の名前と一緒でビックリでした)

その頃よく聞いていた山下達郎さんの曲に『夏への扉』という同名の曲があり、詩の意味が全く解らずに聞いていたのですが、この本と出会ったことで、「そういう事か!」と、ようやく意味が解り、とても嬉しかったことを思い出します。

ちなみに作詞は吉田美奈子さん。作曲 編曲 山下達郎さんです。

今でもその曲を聞くと、飼っていたピートと過ごした時間がよみがえってきます。

夏への扉』は日本でも映画化されましたが、是非原作を読むことをお勧めします。


夏への扉〔新版〕 (ハヤカワ文庫SF)

 

 

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