最近のドキュメント番組では、中高年者の孤独死や引きこもり、老々介護など暗くなる現実を放映しています。
2020年令和2年における自殺者数は、厚生労働省によると2万1,081人で、「40歳代」が3,568人で全体の16.9%を占め、次いで、「50歳代」(3,425人、16.2%)、「70歳代」(3,026人、14.4%)、「60歳代」(2,795人、13.3%)
40代~の中高年でひとくくりにすると1万2,814人で実に60%に及びます。
政府の2020年版自殺対策白書で09~19年に自殺した中高年・高齢者約20万8千人の状況を分析し、
その原因は、「健康問題」が最も多く、次に「経済・生活問題」、後期高齢者では「家庭問題」2番目という内訳でした。
また、厚労省は自殺には複数の原因が重なることが多く、健康問題にも経済事情などが複雑に絡んでいるという事です。
2021年令和3年度は1~11月累計19,113人でまだ詳細は解りませんが、コロナの影響もあり、かなりの数になるのは確かです。
G7先進国の中でも、2016年調査ですが、人口10万人あたりの自殺者数がトップという残念かつ深刻な結果になっています。
日本は第二次世界大戦後、経済成長を伴い、先進国としての地位を確立していくのですが、実際には今露見している様な、夫婦別姓やLGBTQ(注1)の人達に対する法整備、女性の社会進出の遅れ、温暖化対策、移民受け入れ及び入国管理省の対応、代用監獄=留置場という世界でもまれな被疑者に不利な制度や取り締まり尋問の可視化問題など、その他様々な事柄において、後進国のままであるのも事実です。
社会保障においても、憲法第25条に書かれた「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」という理念にも、程遠い状態であるのも残念ながら事実です。
「誰でも」「どこでも」「いつでも」保険医療を受けられる体制、すなわち日本の国民皆保険制度や年金制度も、こぼれ落ちた人達が、沢山存在し、公助よりも自助を求める様な政府の姿勢で、弱者や困窮者対策は、民間任せの部分が多いのです。
コロナ禍でも露見した政府の後手後手の政策により、病院で見てもらう事すら出来ない人達も多く出してしまい、加えて脆弱な管理体制の露見や医療制度の崩壊等、政府が今までやってきた事は何だったのだろうか?と思わせる出来事ばかりです。
見本です。本文とは直接関係ありません
私も病気になり働けなくなってからより強く感じたのは、色々な救済制度が用意されていても、知らなければ、何も役に立たない、すなわち経済的にも精神的にも辛い立場で、落ち込んでいるのにもかかわらず、自ら調べ、行動しなければ、何にも活用できないという事実です。
生活が苦しいので、市役所に相談しに行きましたが、「生活保護制度を利用するのも考えて下さい」と言われ」財産の状況や借入金、親族関係など矢のように聞かれました。
私が「高校受験の息子の為に貯めた、郵貯に10万があるだけです」と答えた時は、「それも使ってダメならもう一度相談しましょう」と、そして借金等の負債も自力で銀行等に行って、話して解決してからの事になります。」と言われました。
勿論「生活困窮者の為の相談窓口」という名目で得た情報を頼りに行ったのですが、具体的な提案は無く、どの様な支援があるのかさえも最後まで聞くことは出来ませんでした。
私の場合、妻が外国人であり、自身精神を病んでしまったので、とても辛く「その様な手続きは中々すぐには出来ない」と言ったのですが、「あくまでも、その事が前提での話で、よく考えて下さい。」と話を打ち切られました。
(市町村によって対応が違いますので一概には言えませんが)
幸い、傷病手当を受け取る事が出来たので、しばらくはギリギリやってはいけそうなのですが、そもそも、傷病手当は、全国健康保険協会(通称、協会けんぽ)と健康保険組合(通称、組合健保)に加入しているのが前提になっています。
給付期間は最長1年半です。
派遣会社で働いていた私が、保険に加入できたのは、入社して1年以上経過してからでした。
それ以前は国民健康保険には加入していましたが、傷病手当金という制度は原則ありません。
(コロナ等で特例処置として認められることは有りますが)
私が所属していた派遣会社は、約50人程度在籍していたのですが、会社の運営者以外、保険に加入できたのは私を含め、たった2人でした。
もし、会社に社会保険加入の意志を強く求めていなければ、そして時間かかり、諦めていたらと考えるとゾッとします。
派遣であれ、アルバイト、パートも、要件(下部ホームページ参照)さえ満たせば、加入出来ます。
目先の利益に目がいきがちですが、もし病気になった時の事を考え、加入するように強くお勧めします。
合わせて、失業保険加入の有無、失業手当がもらえるかどうかの確認もして下さい。
(被保険者期間すなわち失業保険加入期間が1年未満の方は失業手当を受けられません。)
民間の保険も視野に入れる事も大切ですが、精神疾患でも入院でないと保険が下りなかったりする場合(私の場合、県民、国民共済はダメでした)があるので、社会保険が無い人は、よく保険の約款(やっかん)説明をよく読み、無駄のない様にしておくべきでしょう。
派遣会社が派遣している会社でのパワハラでしたので、労災(労働災害)も考えましたが、それを証明する録音記録も無く、派遣先の会社の社員は証言をしてくれない事や、また労災認定まで早くても1か月以上かかる事も、断念の理由でした。
後で解った事ですが、弁護士が間に入る事で慰謝料等が受け取れる可能性もあるという事です。
費用や時間もかかるようですが、相談し、過失を認めさせれば費用も相手方に請求も出来ます。
正当な手段として行使するのも良いと思います。
実際に、私が派遣されていた会社での女性事務員の方が、パワハラで弁護士に相談した結果、パワハラをしていた男性上司は、会社を辞めていきました。慰謝料も払われたとの事です。
やはり証拠が大変重要になって、録音や証言してくれる人の確保など、出来る限り準備する必要がありますから、異変を感じたら証拠となるモノを集める事を始めて下さい。
まず各都道府県の労働局に相談しても良いと思います。労働基準監督署は、パワハラに対して事業所に指導する権限が与えられていない為、相談するだけとなります。ご注意を。
但し不当な労働時間や賃金未払いに関しては、私も経験がありますが非常に有効な手段です。
要件を満たせば在職中に受給していた傷病手当金を退職後も継続して受給できる「継続給付」は受けることができるという事も、調べなければ判りませんでした。
傷病手当をもらいながら3ヶ月経った頃、派遣会社の社長が自宅に来てくれとの話があり、妻と一緒に行きましたが、その親しげな態度とは裏腹に、自主退職してくれという説得でした。
てっきり、他の出来そうな仕事を与えてくれると思っていた私は、非常にショックでした。
今から考えると、現役の時の窮状を訴えていた事もあり、会社都合による退職にしてもらえばよかったと後悔しています。
自立支援医療受給制度(各市町村役場での手続き)は、医療費にかかる費用を補填してくれる仕組みなのですが、申請には診断書が必要で、私の場合1万円ほど掛かりました。
お金が無い時には痛い出費ですが、その後の医療費がかなり安くなります。
また、障害者手帳を所得出来るケースもあり、就職活動の際に利点があり、バスなど交通機関優遇といった特典もあります。
市町村で手続きが可能です。早めに相談して下さい。
自立支援医療受給による救済制度の存在や失業保険も、手続きを怠るともらえなる事など、調べないと解らない事ばかりなのです。
特に、もし退職したら、ハローワークに失業保険の手続きを忘れずにやって下さい。
たとえ自己都合(会社都合では無い)の退職でも、病気であれば医師による証明で2ヶ月待機期間が無くなり、支給開始がすぐできる場合があります。また支給の延長も可能で、必要書類等は職員に相談すれば教えてくれます。
前述に記した私の場合は、私自身で全て手続きをやらなければいけないので、精神を病んだ身としては、とても辛い事でした。
息子の高校受験とも重なり、経済的にも追い込まれる事も、自身の病気に悪影響を及ぼしているという自覚がある中で、自分ではどうしようもない、何も生まれない毎日を送る中で、同じような苦しみを抱えながら生きていらっしゃる人達の存在の多さが、逆に励みにもなりました。
私が自律神経失調症(発症当時の病名で、今はもう少し細分化されています)と診断されたのは、30代半ばでした。
胃に穴が開き、すなわち穿孔して手術を受け、再びこの病気になったのは、10年後でした。
このブログでも書いていますが、上司や仕事関連の同僚からの言葉による暴力で、暗い穴に落ちていく感覚になり、その時の病名が「身体表現性障害」。
精神科(心療内科)のクリニックでの、初めての問診では、溢れる心の叫びを表に出すうちに、涙が止まらなくなってしまった事をハッキリと覚えています。
そして、4年後またパワハラに遭い、心がポッキリ折れてしまいました。
私の場合、ひどい肩こりから始まり、喉が狭まる違和感、まるで食道の中に下から上へと拳をねじり込んでいる感じでした。
また、後頭部の脳が圧迫されている感覚と常にひどい肩こりに伴う頭の重さ、そして誰かと会う事や、電話やSNSなど、一切が出来なくなりました。
この時に、助けとなったのは現実逃避、お酒です。
何もかも忘れ、考える事もしなくて済む実存しないかのように時間を過ごす事が、そして、明日をあきらめる事が出来るそのお酒の力は、絶大でした。
政府は、「公助の前に自助せよ」すなわち自分の力で何とかしろと言います。
「助けてくれる親族を探せ」そして「申請すれば手助けが出来るかも?しれません」というのです。
私の場合は、幸いにして今残った、たった一人のうつ病で苦しむ妹と、何より妻がいたからこそ、立ち直る兆しが見えてきましたが、誰にも相談や傍にいてくれる人がいない人達の事を思うと、心が痛みます。
私の経験から、周りの人達の無理解がいかに多いかという事と、未だ精神論を振りかざす人達の存在です。
特に弱い立場の人に「そのくらい我慢しろ」「事を大きくしないでくれ」「考え方を変えろ」「そんな事は日常茶飯事だから騒ぎ立てるな」「病気じゃなくて精神が弱いからそうなるんだ」等など、本人は痛いほど分かっている事であり、逆に理解してくれない人達に対しての諦めが先行してしまうのです。
経済面での支援や理解者が無いと悲惨なことになりかねないこの病気。
厚労省によると『適応障害(てきおうしょうがい) Adjustment Disordersとは、日常生活の中で、何かのストレスが原因となって心身のバランスが崩れて社会生活に支障が生じたもの。原因が明確でそれに対して過剰な反応が起こった状態をいう。』とされています。
治療をしないと、うつ病にもなる可能性が非常に高くなります。
私も一歩手前までの状態でした。
治療は、精神科医との面談が主ですが、場合によっては薬も処方されます。
私は、抗うつ薬や睡眠導入剤を処方されましたが、今でも薬なしには残念ながら、まともな生活が出来ません。
副作用は主に眠気で、とにかく主治医とよく話し合う事が大切なのです。
私に経験では、精神科医との相性がとても大切だという事で、上から目線で話してくるタイプの医者もやはり存在します。
話を最後までしっかり聞いてくれる医師と出会えれば、治りも早いのです。
その為に、病院や主治医を変えて見るのも良いと思います。
私の経験では、話をちゃんと聞かずに「もう解っている」といった顔や態度をとる医者や、先回りして話の腰を折る医者がいて、ただ薬を処方してもらう為の診察という事もありました。
精神面での病気は外から判らないので、医師とのコミュニケーションがとても大切になるのです。
「この先生はあわない」と思うという事は、先生の言葉も信用できるはずがありません。
主治医や病院を変える勇気を持って下さい。
ストレスは負荷がかかった状態ですが、全てのストレスが悪いわけではありません。
生きている以上、必ず何らかのストレスはかかりますし、個人レベルでも大きな差異があります。
ストレスは場合によっては原動力にもなるからです。
環境、都会と地方による差といった事よりも、現代は社会全体に、ストレスを与える要因が増え、いらない情報も頭に入ってしまう事も大きな原因です。
選択肢が増えれば増えるほど、ストレスも増えていくのです。
あまりにも、物事がポチっと指で済ませられる時代だからこそ、過程を経て学ぶ機会を逃してしまい、逆に他人の行動が気になるのかもしれません。
そして何より、心無い人達の存在が大きな理由になるのも確かです。
時代の変化についていけないのは仕方がありませんが、学びの無い堅い頭のままでいる権力を振りかざす人達は、自分達の言動や行動がどんな結果を招くかなんて気にも留めていないのです。
そうポチっと誹謗中傷出来る世界の中で、私達は生きているのです。
会社だけでなく、近所付き合いやPTA、ママ友、ネット等そこら中に心無い人達がいます。
誰でも、いつ発症してもおかしくないこの病気は、対応を誤れば大きく人生を変えられる、命までも脅かされる恐ろしい病気という事を社会全体で共有しないと、誰もが生きにくい社会になってしまうのです。
先述で書いた公助等は、各市役所や加入している保険協会、厚労省のホームページで確認できます。
もし、あなたの傍で苦しんでいる人がいるならば、中には期限付きのモノもあるので、調べて出来るだけ早く申請してあげて下さい。
当然の権利の行使ですので、面倒でも決してあきらめないようにして下さい。
やるかやらないかで大きな差が出てくるのです。
そしてやはり大切なのは、アルコール依存症などでも同じですが、本人が病気だと自覚する事から治療が始まります。
精神面で問題を抱えてしまうと、人間は弱いですからお酒やギャンブル、過食、万引きなどの犯罪に繋がってしまう事が多いのです。
引きこもってしまったり、逆に暴言や理解の無い言葉の投げかけは、より病気を悪化させてしまいます。
私の母もアルコール依存症でしたし、父もうつ病だったので近親者にとっては大変な思いをするのも理解しているつもりです。
兎に角、問題を抱え込まないで第三者に助けを求めて下さい。
決して恥ずかしい事でもありませんし、対応が早ければ早いほど治りも早く、周りの人間も苦痛から解放されます。
場合によっては暴力的な事に発展する可能性がある、精神の病気の事を軽く見ないで下さい。
私の経験からも、本人の自覚(病気なのだ)と周りの理解がとても大切です。
誰でもこの時代、かかってしまう可能性がある病気です。
そうならない為に息抜きが出来る時間や、そうなった時の為の知識を身に付けておいて下さい。
(注1)LGBTQセクシュアルマイノリティ(性的少数者)を表す言葉で、性的指向や性自認を意味する英語の頭文字をとって作られた。Lesbian(レズビアン)は同性を恋愛の対象とする女性、Gay(ゲイ)は同性を恋愛の対象とする男性、Bisexual(バイセクシュアル)は同性も異性も恋愛対象となりうる人、Transgender(トランスジェンダー)は体の性と心の性が異なる人、Questioning(クエスチョニング)またはQueer(クイア)は性的指向や性自認が定まっていない人を意味する。
出典 朝日新聞出版
https://www.kyoukaikenpo.or.jp
組合けんぽ
厚生労働省ホームページ
厚労省のホームページより「障害者福祉」へ
依存症や、引きこもりに関しては地域差がありますが、NPO法人も数多くありますので、市役所やネットで検索して下さい。