私の亡き父は100歳まで生きました。
55歳で定年の時代、人生の半分近くを老後と言われる生活をしてきた訳ですが、若い頃から夫婦仲が悪く、その後悔からか、たまに母を連れてドライブしていたようです。
父との会話は必要なこと以外はほとんどありませんでした。
経済成長時代真っ盛りのサラリーマンだった父は、家庭よりも仕事一筋の人間でした。
そんな父の背中を見て育った私は、学ぶどころか反発ばかりしていました。
「外ではいい顔して、家では怒ってばかりいやがって!」と。
時には「何で生んだんだよ!」と自棄になってしまった時期もありました。
父は母の事を、母は父の事を私に向かってお互い悪口を言う両親。
夫婦の事は当事者でない限り解りませんが、子供から見ると両親の嫌な部分ばかりが記憶に残ってしまい、トラウマの様になってしまいました。
母の死後、施設で過ごしていた父ですが、後悔していますが一度も訪ねる事はありませんでした。
今、私が親となって、両親が彼らなりに苦労して育ててくれたのだと、やっと自分に言い聞かせる事が出来るようになりました。
そして、トラウマを反面教師として息子と日々向き合っています。
両親と過ごした昭和の時代は、もしかしたら私と同じような経験をしてきた人も多くいるかもしれません。
両親から教わった事は思い返してみると、世間体というものを考え、人様に迷惑を絶対にかけない事とお金が全てであり、その為に大企業に就職せよという事ぐらいしか思い出せません。
男尊女卑や隠れ差別、心付けや謝礼が当たり前であった時代。
出世や家電、マイホームが目標であった時代。
本音と建前の開きが大きく、常に他人の目を気にしていた時代。
私にとっては息苦しくて仕方がない時代でもありました。
「何の為に歳をとっているのか?」
日々、流れるニュースの中で、私がよくつぶやく言葉です。
自分自身にもつぶやいています。
良くも悪くも、様々な経験をしてきた中で、それを悪い方向へと使ってしまう浅はかな行動。
自然界では生存が全てであり、それを超える愚かな行動はしません。
命取りになるからです。
必要以上に殺生はしませんし、役割を心得て謙虚に生きています。
短命であろうが、食し食される身である事も淡々と受け容れています。
残念ながら人間は、「欲」をコントロールできない人がいつの世にも現れます。
「欲」は向上にも繋がる意味では悪い事ではありませんが、支配的要素を多く含んでいます。
すなわち、考え方を誤れば欲求を満たす動機となり、最悪、手段を選ばないという結果を生み出します。
「何の為に歳をとっているのか?」という疑問は、なぜそんなことがその歳にもなっても理解できないのか?
やってしまうのか?という素朴な疑問です。
そのほとんどが、自分が主役でしかも監督を兼ねている三流以下の作品に酔いしれている人達です。
そして、少なからず、その作品に共感する人達がいるという事です。
彼らは何処で、いつ上映するか解らないという厄介なプロモーションを行い、更に作品のわき役を採用していくのです。
舞い上がった人達は、自分の居場所を与えられたと錯覚し演技し続けるのです。
遠くから見るとまるで滑稽なのですが、自己完結してくれない事が非常に厄介なのです。
よく「老害」と言われるような事例が正にそうです。
「何の為に歳をとっているのか?」
人間は脳という能力を使い寿命を延ばしてきました。
考えてみると、「人工物」と「自然」は、対義語のように使われますが、人間は今のところ機械では無いので、本来「自然」という位置づけになります。
その人間が作るものは、見方を変えれば自然物とも言えます。
里山しかり、堤防も畑、同じようにビルも橋も自然物と捉える事も出来るわけです。
自ら延命する様々なモノを作り出してきた人間。
長く生きる、生き延びる事は自然の中で起きている事で何か意味があるとしか思えません。
通常の人間以外の生物は遺伝子の受け渡し後、もしくは生殖能力が無くなった時点以降寿命は短いものです。
一方人間は、戦争や飢餓、病気といった身近に身の危険がある場合、子供の数、出生率は上がります。
子孫を残す為です。
しかし、生きていく上での環境が整い保証される社会になると先程とは逆に少子化に向かい、長生きになります。
人間だけが子育てに長い時間をかけ、その後も長く、それも徐々に時間を延ばしてきています。
人間にとっての最大の武器は「脳」です。
子育て後、医療や環境といった人工的手段を活かし、長い時間を与えられた「自然物」である私達。
そこに意味があるのです。
いくら素晴らしい脳を手に入れたとしても、それを使いこなす事が出来なければ意味がありません。
脳を活かす為には、子孫に生きていく上で、人間という大きな枠での集団生活を営む為の基礎と知識を与える時間が必要です。
ですから子育てに時間を費やし、その後も継いでいくモノへの忠告者として、道標としての役割がある為寿命が長いのです。
先人達の優れた知識や技術、そして経験、これらが後世に伝わってきたからこそ生物としての人間がここまで生き延び、繁栄できたのです。
インターネットや図書館で調べれば判るのが知識ですが、それはやる気があれば誰にでも身につけることができます。
知識は力となりますが、知恵を伴わないとただの飾りものにすぎません。
まして、指でポチっとするだけで知識を得る事が出来る時代に生きています。
一方の知恵は、試行錯誤し反芻し、失敗した中から産み出てくるもので、熟練した技、現実をいかにどう乗り切っていくのか等、本やネットなどの知識では得られない事も沢山あります。
まさに経験と勇気、挫折と夢の賜物なのです。
長い時間が人に与えられているのは、人生経験が未熟なモノに対して自分たちが経験し、得てきた知識、反省や失敗やあやまちを繰り返さない為の助言を与える時間なのです。
大家族で生活をしている人達が少なくなり、核家族化がすすむ現在、年上の人との触れあいが希薄になっています。
そんな時代だからこそ、人生経験を積んできた人達が残された時間をどのように使うかにかかっているとも言えます。
それは単に家族間でのやりとりだけではなく、社会を通して、自分自身の生き方を通して伝えていかなければいけない義務です。
無関心や無視が、無知を生み育てることを忘れてはならないのです。
そして、常に頭に入れておかなければいけない事が、「謙虚」という言葉です。
新しい考え方が溢れ出す若い世代に、自分達の経験が押し付けにならない事。
全て自分のやって来た事が正しいとは限らないという事。
自身の行動や言葉を押し付けない事。
新しい事に目を向ける好奇心をいつまでも忘れない事。
聞く耳を持つ事。
そして権力から遠ざかる事。
そう「謙虚さ」を忘れない事です。
残された時間の意味は、それだけではありません。
「生きる事の意味」でも書きましたが、自分の人生をより楽しむ時間、すなわち私達はこの世に遊びに来ているのです。
還らなくてはならないのです。
日が昇り、沈み、風が吹き、雨が降るのを楽しむ為、その為の自然物、人間としての意味があるからです。
生きる事の問いかけを、答えが出なくても次の世代への宿題として問い続けるのです。
「何の為に歳をとっているのか?」は「何をやっているんだ」という後ろ向きの問いかけにするべきではありません。
それは自分自身への問いかけであり、後押しの言葉にする問いなのです。
答えを追い求める事が人生でもあります。
歳を重ねた人を軽んじる風潮がありますが、非常に大きな人間的、社会的に損失となるのです。
単に知識や経験を得る機会を失うだけではなく、その人達から学ぶべき無言のメッセージ、すなわち「人生とは」「生きる事」というような重みさえも、受け取る機会を逃してしまう事になるからです。
「一人の老人の死は、一つの図書館を失うのと同じだ」というアフリカのことわざがあります。
敬う事、つまり謙虚になる事。
それ無くしては次の世代に明るい未来は無いと言えるでしょう。
生命短きものには感謝を
生命長きものには敬(うやま)いを
生命短きものからは刹那を
生命長きものからは尊(とうと)さを
命の時間は持って生まれた贈り物
2008年のアメリカ映画で監督、プロデューサー、主演のクリント・イーストウッド(Clinton Eastwood Jr.)の作品『グラン・トリノ(Gran Torino)』
老人と少年の交流を描いた、悲しくも心温まる作品です。
年配の方に特にお勧めの映画です。
2007年のアメリカ映画『最高の人生の見つけ方(The Bucket List)』は、
「ジャック・ニコルソン(Jack Nicholson )」と「モーガン・フリーマン(Morgan Porterfield Freeman, Jr.)の名優二人による、ハートフルな物語で、余命を告げられて、死ぬ前にやり残したことの実現の旅に出る話です。
映画の中に出てくる言葉も素晴らしいので、お勧めの映画です。
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