心の道標

様々な自分の疑問に、自分で答えを見つける旅

童話「アルマイトの洗面器」

小学校に通っているミーちゃん。

おうちに帰ってママに聞かれました。

「学校は楽しかった?」

「今日はね、宝物の絵を書く時間があってね、ねぇママ!見て!」

ミーちゃんは、持っていた紙をママに差し出しました。

「わぁ~きれいな、お花!上手に書けてるね!」

そう言ってミーちゃんの頭をナデナデしました。

するとママの後ろから弟のユウ君が、

「ねぇ、僕も書きたい」

と言ってママの袖を引っ張りました。

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「じゃあ、ユウも書いてごらん

さっそく色鉛筆を持って書こうとするのですが、なかなか書けません。

「どうしたの?」とママが聞くと、ユウ君は

「ちょっと待ってて」そう言って、外に飛び出していきました。

ママは、なかなか帰ってこないユウ君が心配になり探しに行くと、

近くの公園で座り込んでいるユウ君がいました。

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「何しているの?」とママが尋ねると、

「宝物探し!」と言いながら、

あっちに行ったり、こっちに来たり、ごそごそしていました。

ママは、

「もう遅いから、帰ろうね、お姉ちゃんも心配してるよ」

そう言ってユウ君の手を引っ張り、おうちに帰りました。

「ねぇママ!宝物の絵、書くぅ!」

そう言ってポケットに手を突っ込み、ごそごそごそごそ。

取り出したのは、たくさんのダンゴムシ

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ママは、

「キャー!」

と叫ぶと、

「お願いだから外に持っていって!!」

ユウ君は、

「だって見ないと、うまく書けないんだもん」

仕方なく、ダンゴムシを外に捨てに行きました。

 

しょんぼりして帰ってきたユウ君に、

「ママの宝物はね」そう言って薬指の指輪を見せました。

キラキラした指輪を見たミーちゃんは、

「私も欲しいなぁ」

ユウ君は、

ダンゴムシの方がカッコイイ」と、ボソッとつぶやきました。

 

ミーちゃんは、ママに聞きました。

「ねぇパパの宝物ってなあに?」

ママは少し考えると、お風呂場に二人を連れて行って言いました。

「この洗面器よ」

そして、

「ママと結婚する前から使ってたんだって!」

「洗面器がパパの宝物~?へんなの~?」とミーちゃん。

あっちこっち、へこんで、

所々黒くなってしまった洗面器を見ながら、またママが言いました。

「パパは、これでお湯もわかせるんだ!って言ってたわよ」と。

「ほんとかなぁ?やっぱり、へんなの~」

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しばらくすると、パパが帰ってきました。

みんなが

「パパお帰り~!」

と言ったあと、ミーちゃんが

「ねぇねぇパパ!この絵、私が書いたんだよ!宝物の絵!」

するとパパは、

「わぁ~きれいなお花!上手に書けたね!」

それを聞いていたユウ君は、

「僕の宝物!」

と言ってポケットの中に手を突っ込み、一匹のダンゴムシをパパに見せました。

ダンゴムシか~!パパも昔よく捕まえてたんだよ」

そして、

ダンゴムシは本当は虫の仲間じゃなくて、う~ん、そう、エビやカニに近い仲間なんだよ!」

 

みんな、

「本当~?‼」って声をそろえて、ユウ君の手のひらの上にいる、ダンゴムシを見ました。

パパは、

「よく見てごらん!足がたくさんあるだろう、虫の仲間は六本だよ」

するとユウ君は、

「ほんとだぁ~!やっぱりカッコイイ~!」

でもママとミーちゃんは、イヤーな顔をして見ているだけでした。

 

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夕ご飯も終わり、お風呂の時間。

パパとミーちゃん、ユウ君三人で一緒にお風呂に入りました。

「ねえパパ!パパの宝物ってこれでしょ!」と言って洗面器を指さしました。

「よく知ってるなぁ!」

「だってママが教えてくれたんだもん!」とミーちゃん。

パパは、

「この洗面器はアルマイトっていうもので作ってあるんだよ」

今度はユウ君が、

「パパ!お湯も沸かせるんだよね!」と自慢げに話しました。

ミーちゃんは小さい声で、

「ママから聞いたくせに!」とユウ君をにらみつけました。

 

「ねぇミーちゃん!洗面器にお湯を入れてみて!」とパパが言いました。

そして、

「パパとママの本当の宝物は、この洗面器の中にあるんだよ」と言いました。

ミーちゃんもユウ君も、不思議な顔をしてパパの顔を見ました。

「のぞいてごらん。何が見える?」

とパパが二人に言いました。

 

ミーちゃんは、

「お湯!」

ユウ君も、

「お湯!」

するとパパは、

「ちゃんと二人でのぞいてごらん!」

パパは洗面器を揺らさないように、二人の前に置きました。

「さあ、お湯の中に何が見える?」

するとミーちゃんが、

「カガミみたい!ユウの顔が見える!」

ユウ君も、

「ミーねえちゃんだぁ~!僕の顔も見えるよ」

パパは、

「パパとママの宝物が見えた?大切な宝物だよ!」

そう言って二人の頭をナデナデ。

 

お風呂からあがったミーちゃんとユウ君。

ママに大きな声で、

アルマイトの洗面器!大好き~!たからもの~!」って。

 

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ちなみに

アルマイトとは、人工的にアルミニウム表面に分厚い酸化アルミニウム被膜を作り処理されたもので、プラスティックよりも耐久性に優れていて、ヤカンやお弁当箱等に使用されています。

現在ではあまり見かけなくなりました。

特に洗面器は、家庭において、プラスティックが主流になり、めったにお目にかかりません。

私自身は、30年以上前に、金物屋で購入し、今でも現役です。

一度だけですが、この洗面器を使って、インスタントラーメンを作った事があります。ある意味、私の宝物です。

 

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